3.白夫平の草木塔

米沢市指定有形民俗文化財(平成九年三月二十八日 指定)

現在地米沢市大字入田沢字新田下
碑文寛政九丁巳年 一佛成道観見法界
(梵)草木供養塔 草木国土悉皆成佛
八月十三日 中通
大きさ高さ110㎝ 幅90㎝ 厚さ25㎝
材質安山岩の自然石
建立月日寛政九年八月十三日(1797年)
種字バク

 本草木塔は、寛政9年(1797)の建立であり、国道121号線の改修で道路から二メートルほど上がったこの場所に移転され、小堂と飯豊山碑とともに並び立っている。

 碑文は中央に「草木供養塔」とあり、向かって右側に「寛政九丁巳年」「一佛成道觀見法界」、左側に「草木国土悉皆成佛」「8月13日」「中通」と刻まれている。また、碑文の上部には、釈迦如来を意味する種子(梵字)の「バク」がある。建立者は「中通」とあり、入田沢村中通の人々が建立したことが知られる。

 この草木塔で注目されるのは、刻まれている経文「一佛成道觀見法界草木国土悉皆成佛」で、これは日本仏教の一節であり、情を持たない草木にも成仏の義があると説いている。また、隣接する飯豊山の石塔もふまえると、山岳信仰との結びつきや神仏習合といったこの地域特有の宗教観も窺われる。

 本草木塔は、草木塔の碑文と経文が併記されている唯一の草木塔であり、本来的な草木塔建立の由来を考えるうえで貴重な存在である。

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